西陣でランチをするなら鳥岩楼（鳥料理専門店）の名物である親子丼がおすすめ

絹織物の西陣織の発祥の地であり、京町家が現在でもたくさん残る西陣。その西陣にある老舗鳥料理専門店『鳥岩楼』ではお昼12時～14時の2時間限定で親子丼を提供しています。今日はその親子丼を求めて行ってみました。お店は古い町家を改装したものだそうで、歴史と老舗の風格を感じる店構えです。鳥岩楼はもともと明治時代に祇園で創業しましたが昭和20年からこの地で営業しています。

お店の外には人がいなかったのですが、のれんをくぐって驚きました。玄関口には靴がズラリ！どうやら満席状態のようで、玄関では何人も順番を待っていました。鳥岩楼ではランチタイムのメニューは親子丼のみなので、全員が親子丼目当てで来店しているわけです。

15分ほど待ち、ようやく順番がきて2階にある席へと階段を登って向かいました。鳥岩楼ではランチタイムは2階席しか使用しないそうです。古い木製の階段はどこか懐かしく、趣を感じました。階段を一段一段上がるごとに膨らむ期待感・・・。

2階の客席はお座敷になっていて、窓にはすだれも掛かり、町家の風情たっぷりの店内に気分が高まります。席に案内され、ランチタイムは親子丼のみなので注文をあらためて聞かれることもなく、一人前とだけ伝えて待ちました。

注文してから10分ほどで親子丼が運ばれてきました。丼の器はやや小さめのサイズ。ご飯茶碗を少し大きくしたくらいの大きさです。丼のフタをそっと開けてみると・・・。

ご飯の上にふわふわの卵がたっぷりと乗り、うずらの生の卵まで乗っています。鶏肉は小間切れになっており、しっかりとプリプリした弾力があります。山椒も良いアクセントになっています。一緒に付いている白濁の鳥スープはしっかりと鳥の出汁がきいていて、コラーゲンが豊富。小さめに感じる丼器には、ご飯がぎっしり詰まっていますので十分に満腹感を得ることができました。老舗の親子丼が800円で頂けるなんて感激です！

2階の客席の窓からは庭が見え、立派な松もあります。1階は夜のみ使用され、名物である水炊きなどを楽しむことができます。この素晴らしい庭を眺めながら頂く料理はさぞかしおいしいことでしょう。水炊きは少々お値段が張りますが、価値は十分にありそうです。

おいしい親子丼でお腹がいっぱいになり満足した後は北野天満宮や京都最古の花街である上七軒方面に向かって歩くことにしました。上七軒のあたりも京町家が並び、石畳の道は景観が配慮され電線が全く見えません。古都の風情いっぱいです！

その石畳の道沿いに京都で有名な老舗和菓子店『老松』があります。こちらのお店も町家の建物で、品の良い店構えは上七軒の地にしっくりと馴染んでいます。店内には和菓子が種類豊富に並べられ、常にお客さんの出入りがある人気のお店です。

北野天満宮では毎月25日に『天神さん』と親しまれている縁日が開かれています。老松ではその天神さんに合わせて月ごとに違った和菓子を販売しています。今日は中秋の名月にちなんだ『月見葛ながし』というお菓子が販売されていました。一つ購入し、それを天神さんでにぎわう北野天満宮の境内の片隅でいただくことに・・・・。

存在感のある栗は月を見立てたもの。希少な波照間産の黒糖風味の葛きりはつるつるとのど越しが良く残暑が厳しい今の時期の京都にぴったりです。蒸し暑かったのが吹き飛んだような気分になりました。老舗の和菓子屋さんが天神さんの日のためだけに作る和菓子はとても贅沢な気分にさせてくれます。

月見葛ながしを頂いた後は天神さんでにぎわう北野天満宮の境内やその周辺を散策しました。天神さんでは飲食物の屋台の他、骨とう品や古い着物、和雑貨のお店なども並びます。若い人も多く訪れていて、外国人観光客の姿も多く見受けられました。天神さんは見て歩いているだけでも楽しい気分になります。

上七軒は京都で最古の歴史を持つ花街で時折舞妓さんの姿も見受けられます。また北野天満宮は学問の神様である菅原道真公をお祀りし、天神さんの日以外にも受験生や修学旅行生でにぎわいを見せています。鳥岩楼の親子丼を食べた後は、魅力いっぱいの西陣エリアをゆっくりと観光してみてください。きっと京都らしい魅力に出会えるはずです。